第10回研鑽会 2015年10月10日
目次
書体の違いを超えて,個性が残る部分の検討
同一人が執筆した際に,書体が違っても,個性が残りやすい部分は,どの送筆画であるのか。参加者により協議されました。実証を含む検討内容は以下の通りです。
楷書体と行書体
- 偏と旁の間隔や,それぞれの大きさの状態。
- 文字同士の間隔。横画の角度。
- 漢字に対する平仮名の大きさ。
これらの項目について,今後,検証を含めデータ収集を行うこととなました。また,今後に向けて,回数を重ねていくことなども話し合われました。
透写による筆記実験
サンプル筆跡の上にトレーシングペーパーを置いて文字を透かし,サンプル筆跡の模書を,下記2通りの方法で透写する筆記実験を行いまいした。各人が筆記実験を終えての感想は以下の通りとなりました。
サンプル文書に一致するように筆記する
- 筆速が遅くなった。震えにより筆跡に波状線が生じた。
- 文字同士の関連性が失われた。
- 送筆画の滑らかさに欠けた。
- 完全一致させるのは難しい。
- 自分の字として見ることも,可能である。
透写する紙をずらし,サンプル文書とわずかに異なるように筆記する
- 筆速は遅くなるが,乱筆にもなる。
- 震えにより筆跡に波状線が生じる。
- 送筆画の接画部にズレが生じ,均整のとれた文字にならない。
- 文字同士の間隔がまばらになる。
- 文字列が蛇行する。
透写による模書では,完全に一致するように執筆することは極めて困難であり,模書により完成した文書は筆速が失われ,波状線が生じることにより送筆画の滑らかさに欠け,更に,文字同士の間隔や,文字列の偏向状況にも均整のとれない状態が観察されました。今後,「滑らかさ」などの数値化が可能であるか,検討を重ねていく必要があることなどを確認しました。
参加者:天野瑞明,齋藤保,田村真樹,他1名(敬称略)